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図書室にて #11

■11■

 校舎前に黒塗りのセダンが止まる。
 そこへ1人の女子生徒―――図書室のあのショートカットの少女だ―――乗り込んだ。
 後部座席のドアが閉じられたあと、車は静かに発進する。


 その車は歩道でキスをしている二人の傍を通り過ぎる。


「キスしてた」

 後部座席の少女はそう呟く。

「二人ともわかーい」

「あなたと同じ年だから、ね」

 運転席で車のハンドルを握る少し厚めの化粧をした女性はそう返す。

「お母さん、あれ本当におじーちゃんと、おばーちゃんなの?」

「そうよ」

「でも、なんかおじーちゃん、あたしの知っているよりも何だか情けなかったー。
 それにおばあちゃんは昔から背が大きかったんだねー」

「大人になるといろいろと変わるのよ」

「あの後、おじーちゃんとおばーちゃんは、
 長距離をずっとメールでやり取りするんだよね?」

「メールのやり取りは、暫くしたら途絶えるようになっちゃたんだって」

「えー」

「移動手段を持たない中学生の遠距離恋愛なんてそんなもの。
 で、お互いがそれぞれの存在を薄っすらと忘れてきたころに、
 ……大学で再会するのよ」

「運命だー」

「うん、運命。
 その偶然の出会いで、お互いがとても運命的なものを感じて―――それから結婚までほぼ一直線というわけ。
 ……母さんね、この話を小さい頃からずっと聞かされてきたの。
 それで、なにか……幻想もっちゃったのかな? 結婚とかに」

「あたし、お母さんについていくよ」

「……ゴメンネ。
 お母さんとお父さん、仲が悪くなっちゃって……。

 でもね、あなたには希望を持って欲しいの。
 お父さんとお母さんだけを見て、結婚と恋愛に変な斜めの見方をしてほしくないの。
 わたし達の結婚は不幸だったけど、幸せな恋愛と結婚をした人たちもいるの。

 ……お爺ちゃんやお婆ちゃんみたいにね」

「うん」

「本当に幸せな恋愛があるんだって見せたくて、
 あの人に頭下げてこのタイムマシンを借りたんだから……」

「……うん」

「じゃ、帰りましょう。未来へ。
 わたしたちの『今』へ」


 道路を走る黒色のセダンが人気のない道から消えたのは、それから暫く後のことだった。


 END
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/04/23(水) 00:05:08|
  2. 小説
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