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図書室にて #9

■9■

 今週の金曜日にクラサワさんはこの学校からいなくなってしまう。

 一週間は瞬く間に過ぎていった。

 あのショートカットの少女は図書室には現れない。

 昼休みにクラサワさんと一緒に本を読み、放課後にクラサワさんと一緒に本を読んで、そんなことを忘れていたら、いつの間にか金曜日が来てしまった。

 嘘だ。
 ……忘れてなんかいなかった。一時も。

 でもどうすればいいのかわからない。


 ニ ゲ ラ レ ナ イ 。


 何から? 一体何から逃げられないのだ?
 僕とクラサワさんは「図書室の女の子に片思いの男子中学生」と「その男子中学生を応援する先輩女子中学生」という関係で最初からここまで来た。その関係から外れることはマズイと思う。何がマズイって? いや、だって……他人が期待しているキャラから外れるってその人を裏切るみたいじゃないか。


 そして金曜日の放課後。
 図書室使用許可時間は5時。

 それまで僕と、彼女はそこにいる。時間が過ぎれば彼女は消える。
 終わりが想像できなった。でも、終わりは確実にやってくる。


 僕はどうしたらいいんだろう。


 カーテン越しに夕日が室内にうっすらと差し込んでくる。


 そのとき図書室出入り口ドアがひらいた。
 入ってきたのはあのショートカットの女子生徒。

 彼女は僕とクラサワさんの方をちらりと見た後に、
 本棚から一冊本を取り出すといつもの席へと向かう。


 放課後に彼女が来た事はなかった。
 どうして、今日、来たんだろ?


「来たみたいね」

「……」

「それじゃ、告白してきなさい。
 ……あたしは時間だから」

 僕は時計を見る。まだ終了時間まで1時間もあるじゃないか。

「じゃ……がんばって」

 クラサワさんは慌てて鞄をもつと、そのまま早足で図書室から出て行った。

 閉じられるドア。
 廊下を室内履きで走る音。

 僕はドアから外へ出るクラサワさんの後姿を何度も何度も心のなかでリピートした。


 ニ ゲ ラ レ ナ イ 。


 もう自分には何もすることがない。
 ない。ない。ない。

 なにもできず机に伏せる僕。



「追いかけないの?」



 誰の声? 聞いた事のない声。

 顔を上げる。

 そこにいたのはあのショートカットの少女。
 腕組みをして僕を見下ろすように立っている。


「追いかけないの?
 早く追いかけなさいよ。
 そして伝えなさいよ。
 金澤慎二は倉沢美希がスキだって」


 ええ?

「早く、早く行かないと
 取り返しの付かない事になっちゃう」


 えええ?


「早く!」


 僕はその少女に引っ張られるように席から立たせられると、そのまま彼女は僕の背中をぐいぐいと図書室の入り口に向かって押し出しいく。


「走る!」

「は、はい」


 僕はそういわれて廊下を走り出す。
 もう頭のなかが「???」でいっぱいだ。
 何がなんだかわからない。


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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/04/23(水) 00:01:17|
  2. 小説
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