pre-posi blog

イラスト・写真・ニコニコ動画など。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

図書室にて #8

■8■


 次の週の月曜日の昼休み。
 僕は図書室の席に座っていた。ここは先週までクラサワさんが座っていた席だ。
 図書室に来てなにも読まないというのも何だから、とりあえずはシャーロック・ホームズでも読んで見る。ホームズよ、お前絶対モテないと思う。

「あの子は来てないんだね」

 その呟くような言葉のあと、自然に僕の隣の席にすわる。
 僕の心臓が高鳴る。クラサワさんだ。

「うん。ここ一週間、ずっと」

 僕は視線を合わせずに答える。

「……まだ声をかけてないんだ」

 彼女の髪がゆれる音が聞こえる。

「いないからね」

 クールに答えたつもり。

「いたら声をかける?」

 戸惑う。前は即答したはずなのに。

「……わからない」

 そう答えたとき、クラサワさんの息を呑んだ。
 何かの言葉を口の中で押しとどめているよう。

「声をかけなさい。そう思って図書室にいるんでしょ?」

 怒ってる。うん、完璧クラサワさんは怒っている。

「……うん」

 だからこう答えるしかないじゃないか。

「じゃ、放課後も図書室に来る事。ひょっとしたら彼女くるかもしれないから」

「え?」

 聞き間違えたかと思って、僕はクラサワさんの方を向く。


「しょーがないからわたしも付き合ってあげる」

 彼女は僕に視線を合わせていなかった。
 図書室の窓のさらにその遠くを見ていた。

 空は青かった。


「うん……」



スポンサーサイト

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/04/22(火) 23:58:56|
  2. 小説
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<図書室にて #9 | ホーム | 図書室にて #7>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://pozipozi.blog25.fc2.com/tb.php/73-1b922ac8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。