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図書室にて #6

■6■

 そして開けて月曜日。雨が降っていたからブルーマンデー。いつか使ってみたかった言葉だ。
 昼休みになり、僕は図書室へ向かう。

 あの女の子がいなかった。何故かほっとした。
 クラサワさんがいた。何故か身体が楽になる。マゾに目覚めつつあるのかもしれん。

 今日は彼女は本を読んでいる。いつもの図書室入り口近くの席で。この席にいるから僕はどうしても入り口ドアを開けたときにクラサワさんが目に入ってしまうのだ。別にどうでもいいけど。

「来てないよ」

 まるでなじみの客に挨拶をする店主のような軽い感じで、クラサワさんはそう伝える。

「そうだね」

 あの女の子がいないことはとっくに確認済みだった僕は、彼女の隣の席に座る。
 そして彼女が読んでいる本の題名を見てぎょっとした。

『好き?好き?大好き?』

 なんつー本だ。
 夢見る金髪少女が主人公の英語副読本の日本語訳か?英語授業の訳はちょっと直訳調にしないと先生に直ぐにばれてしまうぜ。

「そうだね? なんか生意気ー」
「今日はクラサワさんに聞きたいことがあるんです」
「あたしに? 何?」

 パタンと本を閉じる。

「休みの前の日に言っていた
 『学校にいられる間』って何ですか?
 気になって仕方がないんです」

 自分でも驚くほどするりとその言葉が口から出た。
 そりゃそうだ。なんどもなんども心の中で練習したんだ。
 でも、そのあまりにもスムーズさに自分でも驚いてしまう。身体と意識が同じ方向にブレもなくシンクロしているという感じだろうか。

「ああ、そのこと?
 言った通りの意味。
 あたしさ、来週で転校するから」

「え?」

「お母さんがさ、離婚しちゃって。
 あたしお母さんと一緒に実家の金沢―――石川県の金沢に、引っ越すの。
 もう荷物とかもほとんど送ってあって……」

 石川県の金沢。ここからじゃ……飛行機か?

「んでまぁ最後じゃない?
 今までいいかげんにしていた図書委員の仕事をしてやるかー、なんて思っちゃって、
 図書の整理なんかを手伝っていたわけ。もっともそんな仕事すぐにおわっちゃったけどねー」

 にはははっとクラサワさんは笑う。
 あれ?なんでこんなにもクラサワさんがかわいく見えるのだろう。調教されてしまったのか?

「だからねー、早く見たいのよ。
 微熱少年が恋の一歩を踏み出す時を。

 学校に来るのは来週の金曜日までだから。
 それまでによろしく頼むよ♪」


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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/04/22(火) 23:54:07|
  2. 小説
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