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図書室にて #4 #5

■4■


 次の日の昼休みの図書室。
 あの子が、いた。

 そして知る。
 真剣に本を読んでいる人に声はなんとかけ辛いものかのかを。

「ふふっ」

 かつ、そういう自分を鼻で笑う人がいるということを。
 入り口近くの席に座っているクラサワさんが読んでいる本はえらく薄い。

 『暗黙知の次元』

 ……ホラーか。

「いけないんだ♪」

 イケナインダ。僕、なにか悪いことをしたか。
 ああ……行けないんだ、か。そりゃ、真剣に本を読んでいる人に声をかけるほど僕は無神経で余裕のない人間じゃない。

「ふふっ」

 また笑われた。ホラー小説(にして薄いな)を読んでいて笑うとは周りから変な誤解をうけるぞ。
 ―――自分がどんどん不機嫌になっていくのを見たのだろう、クラサワ女史はちょいちょいと手招きをする。
 ここは中学校。先輩の権力は強い。だから仕方なく行ってやろう。
 僕は妙な気合いを入れて彼女ののほうへと歩いていった。2、3歩でたどり着ける距離だが。

「……あの子、いるよ♪」
「そうですねぇ」
「行かないの?」
「僕は無神経な男じゃありませんから。本を真剣に読んでいる人に声をかけるなんて悪いじゃないですか」

 クラサワ女史はパタンとその薄い本を閉じて、

「……ださー」

 と言ってくれた。

 はい。その通りでございます。
 でもね、クラサワさん。何か気が乗らないときってあるんですよ。
 なんかこう、どうでもなれーっていうという捨て身の勢いがね、身体の中にチャージされていない感じなんですよ。


「わたしが学校にいられる間に
 ちゃんと声をかけなさいよ。
 男の子でしょ♪」


 結局その日もあの女の子に声をかけられなかった。



■5■

 ヤバイ女に当たったのかもしれない。

 休みの日の間、ベットに寝ころびながらずっとそう考えていた。


 わたしが学校にいられる間に
 ちゃんと声をかけなさいよ。
 男の子でしょ♪


 気になることを言いやがって。「いられる間」ってなんだよ。問いかけもせずにそのまま流した自分もアレだが。
 学校の図書室が利用できる時間―――始業から放課後まで―――という意味で「いられる間」なんだろうか?それならわざわざあんなことを言うはずがない。当たり前のことだから。当たり前のことを強調するなんてそんなドラマ的なわざとらしさ―――サスペンスドラマの「さぁここが伏線ですよ。さぁ後は崖のラストシーンまでお楽しみ」みたいな―――が現実に取り得る行動なのだろうか。いやありえない。じゃぁなんた。非常に高度なおちょくり方か?ハイレベル過ぎてついていけねぇ。

 畜生。畜生。なんでこんなに気になるんだ。


 うんうん唸るだけで休日を消化した。
 ……なんてこった。


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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/04/22(火) 23:52:00|
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