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図書室にて #1

■1■

 幼稚園の時、将来の夢はと聞かれて「探偵」と答えた。
 小学生の時、将来の夢はと聞かれた「探偵」と答えた。
 中学生の今、進学先として大学への進学に実績のある高校を選んだ。

 ゲンジツテキになった。
 本当を言えば小学生の時に探偵という職業がどんなものかと調べてみて、その仕事内容が自分の想像していたものとはまったく違っていて幻滅していたのだ。カッコイイ探偵というのは日本では漫画やアニメや小説などにしか生息していないらしい。
 でも小学生のときにゲンジツテキなことを書くと先生からの評価が下がりそうな気がしたので「探偵」と書いておいた。我ながら嫌な小学生だ。でもまわりにはもっと嫌な奴がいっぱいた。だからもっともっと嫌な奴にならなきゃなと思った。

 嫌な小学生を気取っていた自分が中学生になり、気づいたことがあった。

 自分は、小さい、人間だ。

 ちょっとしたウソをついたことで何故あんなにも得意げになっていたのか。
 まるで全世界から自由になったかのようなあの強気はいったい何だったのか。
 小さい、自分は器の小さい人間だ。

 逃げたかった。
 この小さな器に真空パックされている自分から。
 でもさすがに自分に合わせて作られた容器だ。

 ニ ゲ ラ レ ナ イ 。


 器から逃れる方法を求めて授業の合間に中学校舎を彷徨う自分はまるで亡霊。
 彷徨ったって幽霊にはなれないし、その他の人間以外のものにもなれない。
 でも、うろうろ、うろうろと彷徨うことでココロが楽になったのもまぎれもない事実だ。


 ある日の昼休み、僕は日課の彷徨いに出かけた。
 うろうろ、うろうろと歩く。理科室、音楽室、視聴覚室、保健室、体育館、更衣室、美術準備室。

 そして図書室。


 僕はそこで放浪を終えさせる運命の人と出会った。

 図書室の端っこで本を読む小柄なショートカットの女子生徒がいた。

 その白い肌を見て、思わず胸が高鳴る。
 彼女を見つめる僕の両眼。ココロに鳴り響く、チャペルの鐘。からーん、ころーん。

 からーん、ころーん。
 からーん、ころーん。
 からーん、ころーん。
 からーん、ころーん。

 ……どすっ。

「ぐへっ」

 何かが頭の上から落ちてきた。

「あ、ゴメン」

 見ると自分よりも背の高い女が本を両手で持っている。何十冊も高く重ねて。
 その内の一冊が僕の頭に落ちてきたのだ。ず、図鑑だとぉ?

 頭をさすりながら室内履きのヒモの色を見る。オレンジ。2年生か。
 1年の僕はどのような態度をすればいいのか。考えた。


「ゴメン。ゴメン。許してね」


 その背の高い長髪の2年生女子はけらけら笑いながら去っていった。
 108通りの返しを考えたが使われることはなかった。無駄だった。よくあることだ。


 まぁ、いい。そういう小さなことにはこだわることをやめたんだ。
 僕は大きな男になるんだ。そのために何をしたらいいかさっぱり判らないけど。


 頭をさすりながら、本を読んでいた女子生徒を再確認してみる。


「ありゃ?」


 もう彼女はその場にいなかった。


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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/04/22(火) 23:38:44|
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